寄り過ぎると 拠り過ぎるから 一人で歩ける振りを 装えるうちは

始まりがないなら 終わりがない なんて 都合の良い嘘。 貴方が吐き出した残滓は確かに 残酷な始まりを告げる。

躯だけの関係だと仮定したとして 僕がそれを望んでいると キミが思いたいなら それで続くのなら 泡沫の未来でも

キミの温度では 僕は溶けなくて 涙だけ 流れ落ち続ける夜には 僕の心は乾涸びてゆくばかりで

三千世界の烏を殺して 辿り着いた最果ての地にて やっと貴方に 巡り 返り血に塗れた僕ですから 死も二人を別つことはできないのです。

吐き出すのは 愛の言葉より 残滓より 彩り鮮やかな吐息より

明日の夢をもし見れるなら 隣にキミが居たら良いのに

終わった事です 等と 軽い笑みと共に言えることの不思議。 言ってから ああ、そうだね もう 昔の事になってしまったのだなぁ、等と。

裏切ったのは多分 私ではなくて 貴方の心ではないのでしょうか。

言い訳をしておくとしたなら 途中からは惰性だった気がします。 好きだと云う言葉の虚ろさに 貴方だけが気付いていないというこの事象。

嘘吐きなキミに ずっと嘘を吐いていたから キミを好きだという話は 僕の心も少しだけ 騙してしまっていたのだね。

貴方の中に 私という存在は居たのでしょうか。 聞きたくなかったけれど 今となっては知りたいと思うことも

先延ばしにしていた約束は全て 夢に閉じ込めてきました。 貴方がくれた約束は 守られることは無くて 貴方を想って漣泣くドォルと一緒に もう見ることの無い夢の中へ 捨ててきたのです。

貴方との時間は 逢えない瞬間も含めて 寂しくなるだけの時間でした。 あんなに好きで居たのに。

夢を見るなら ソフトフォーカスで。 現と夢の僕が 嘘を吐かずに済むように。 夢を見せてくれたキミに 現で恋をしてしまわないように。

同情が欲しくて 泣いてみせたのです。 キミの優しさにつけこんでみたくて ただ 誰かに傍にいて欲しくて キミの心で ほんの少しだけでも暖めてもらえるなら

現の続きは夢の中で。 ドアを開ければ 消えてしまうなら 夢の中でくらい、恋をしても

僕がキミを嫌いになった訳じゃないのに キミが興味の無くなった僕でも惜しむ振りをするのは何故なのでしょう。

たまに見せる キミの優しさみたいな気紛れが 僕に届かなくなった瞬間 僕は 恋の終わりを知りました。

逃げ出したい衝動は 貴方から 貴方の居ない日常から 貴方の夢を見たくても 想われることなく 忘れられたドォルは夢で逢うことすら

もし 貴方の愛が 何処にあるか知っていたら

君に 寄りかからせるのは 多分ただの自己満足で 共依存してみたいだけで でも 寄りかからせるだけで 僕は 寄りかかれなくて 君の心が向かないのだから 今日も他所に寄りかかりに行くのです。

欲しいのは多分 愛ではなくて 恋みたいな そんな気分で 愛してくれると 声高に言ってくるのに 返せないから 寄りかかるのも 振り回すのも 逢いに行くのも 躊躇する訳で。

要らないと そっぽを向いた瞬間に 君が気紛れに構うから 不本意ながら 翻弄されてみたりするのです。

貴方が 恋をしないというなら 私の願いは叶わないのです。 恋をするというなら 私の存在は叶わないのです。 貴方に恋をしてしまったドォルは 願いと存在どちらも取れずに 歯車を軋ませながら 流されるまま 貴方の上で嬌声を奏でるのです。

貴方が 早く 忘れてくれたらと 願っているのか そうでは無いのか 貴方が忘れてくれるなら 私の恋心なぞ 顕にされる事無く 鍵を掛けて仕舞っておけるのに。

願わくば 貴方に安らかな眠りなど訪れませんように。 黒檀の様に塗潰して消し去ったつもりの 思い出の重さに押し潰されて 手を離した事だけを 後悔し続けて 私の夢を

遠ざかる景色が いつか私を思い出さなくなる貴方みたいで それでも私は 貴方が愛する船と朽ち果てても セイレーンだから 歌い続けるだけなのです

君に繋がっていると思っていた橋は いつの間にか錆び付いていて 僕の足では 歩いてゆけないのです。 錆びた橋は唯 夢と現の狭間でだけ 昔の色彩を取り戻すのでしょう。

例えば今 この客船が沈んだとして 沈んだとしても 波間に溶けてしまえば唯一つ 貴方への愛は持って行けるから