幸せな夢は
ドアを開ければ夢の残骸
貴方が居ない現実


忘れた方が痛くないのに
忘れるのも痛くて握りしめた


最後のキスで貴方が消えるなら
貴方が居た記憶も消して






痛みも無いはずの素体が
キシリと音を立てて軋む


しどけなく倒れ込んだ腕の中で
流れたものは
何だったろう




貴方を忘れる為だけに
誰かの愛を受けて引き裂いたのは


引き裂いた掌の痛みを
貴方の居た証とすり替えられるならと
希っていただけなのだけれど。