2008-01-01から1年間の記事一覧

安定と謂う名を持つ 不確定要素 ただ 貴方が此処にいる この時だけに訪れる まやかしの安寧の時。

巡る時を共に過ごせたのなら 君は君の歴史を。 僕は僕の歴史を。 共に歩かない歴史の底にも いつも君の姿が流れるのです。

愛しい貴方を 醒めた瞳で見つめる瞬間。 だって もう 笑おうとしても 貴方が戻ってこないことを識っているから

こうして 貴方の記憶から少しずつ私が消えていく。 哀しい記憶も 愛しい記憶も 惜しむ気持ちは無いけれども 最後の欠片も消えたなら 貴方はいつか 私のために泣いてくれるでしょうか。

要らないモノなら 棄てられても惜しくはないから 私は貴方を必要としない。

ほらね。 キミは僕を 僕じゃないものに見てくれるから キミの前でなら 僕は自由と云う拘束から抜け出せる。

身が粉になるまで、キミに仕え続けよう。 降りかかる粉を払う様に キミは希望をコナゴナしてくれるから。

臭い物にはフタを。 ああ、もう。 キミの物など、あの時に棄てれば良かった。

キミは僕を染めようとするけど 僕はキミが思っている様な人間ではなくて。 残念ながら既に染まっている僕を 塗り固めたところで 僕はキミの望む色にはなれないよ?

絵描き

キミの描いた幸せよりも 床につけられた絵の具よりも 残り香のように漂う テレピン油のキミの想い出

芽を出す前に死んでしまった 貴方への気持ち

ラスク

開けなければ 砕けることも 湿気ることも なかったけれど。

貴方が私に向けた 全ての言葉 優しい嘘も そうでない嘘も 全てが嘘であったなら それは多分 私に向けた想いそのものが 嘘だったという ただそれだけの事実。

さよならを告げた。 貴方が知らない場所で 貴方が気付かない瞬間に 貴方に さよならを告げた。 戻る先を棄てたのは自分なのだと 貴方が気付かないうちに さよならを告げた。

週末の予感 またキミと逢えない 僕の居ない時間でキミはまた 誰かとの時間を刻む。

紡げば紡ぐほど遠ざかる キミへの熟れすぎた言霊は 熟れすぎて腐臭を放つ どうせなら 離れるなら どこまで遠ざかれるのか 試したい衝動に駆られて困る

メンテナンスもしない恋心でも 錆一つなく光ると思っているのなら 真っ黒に錆び付いた刃先ごと 貴方の心臓に捩じ込んであげる。

勝手に忘れて色褪せさせて 思い出なんかにされるなら 貴方に捧げ続けるこの想いだけでも セピアではなく黒檀の様に塗潰して消して忘れさせて

サボテン(B面)

少し、疲れてしまったわ。 ……或いは、少しずつ疲れていっていたのかも知れないけれども。 彼女はそう言って薄く笑みを浮かべた。 心がこもって居ない営業スマイルとも違う、表情筋の微かな歪み。 そんな顔をする時はね、構わなくて良いのだと 言われては居る…

サボテン

それでも、と 僕の前に座ったドォルは続ける。 私を『女』にしたのは貴方ですよ?と苦笑めいた表情を浮かべて。 このドォルは、いつの間にこんな表情をするようになったのだろう。 僕が拾った時には、少女のような笑みか無表情でしかいなかったというのに。 …